第1回 内モンゴル国際馬頭琴芸術祭参加ツアー旅行記 (その2) 
   
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第3日目
8月11日(
水)

朝マイクロバスで出発。

ゲゲンタル草原観光センターに11:40着。

午後は草原の牧民訪問。

夜、食事後、大ホールのイベントに、サランモルとリポーさんも出演
第3日目 8月11日(水)
中国は老人が元気だ
朝6時ごろ目が覚め、思い立ってひとりで散歩に出た。500mくらい歩くと公園があった。朝早いのに、中年から老年の男女が顔をさすったり、両腕を上げ下ろししたり、太極拳のポーズをとったりしている。老人が元気だ。老人が敬われ、大事にされているからだろうか。
フフホトの町が、中・高層ビルが多く建ち並ぶ大都会であることにも驚いた。また、並木の緑が濃く、広場や公園がたくさんあり、花壇には花があふれていている事にも感心した。
ある時、誰かが言った。――
この町にでもマンションを皆で借りて、気の向いたときは、(あるいは老後は)ここで暮らそうよ。物価は安いし…。なる程。それもいいかも知れないぞ!と、単純な私は思った。

いよいよモンゴルの草原へ

天気は相変わらずぐづつき気味だ。スカッと晴れて欲しい。
朝食のあと9:15にホテル発。今日明日は1泊の草原ツアーだ。これを楽しみにしていた。
フフホトの町を抜けたマイクロバスは30分ほどで峠を越え、北へ向かった。草原が始まっていた。
道の両脇には畑もあった。ガイドの李昌さんの説明では、菜種(なたね)、ジャガイモ、トウモロコシ、小麦などという。並木やちょっとした林などもある。いくつかの草原の町を通って目指すググンタラ大草原に着いた。快適な舗装道路の、2時間半のバスの旅だった。

うーむ。ちょっとちがうかな? しかしやっぱりここはモンゴル草原の真っ只中!

草原観光センター前でイタズラ者のT君。
先発のシリンゴロ草原ツアーが終わっても帰らずに今回のツアーに合流し、合わせて半月間モンゴルで暮らした。この旅でうんと成長したみたい、とお母さんのNさんはうれしそう。
後ろは歓迎セレモニーのモンゴルの若者たち。

そこは見渡すばかりの草原だった。しかし、目の前には広大な観光施設が建っていた。ググンタラ草原観光センターというらしい。
メインの大きな建物の周りに、たくさんのゲル(パオ)が建ち並ぶ。競馬場の観覧席まである。ゲルは、おそら100棟以上あるのではないかと思われた。数あるゲルの中には、戦車ゲルと呼ばれる、台車付きのものまであって、興味をそそられた。
ここは、こんな大規模な観光基地だ。話に聞いて憧れていたシリンゴロ大草原(リポーさんの故郷)のイメージとは、ちょっとばかり違う。
しかし、今回の旅は芸術祭参加が主目的なのだ。日程の関係でやむを得ないか、と自分を納得させる。…何といっても、周りは まごうかたなきモンゴルの大草原なのだから。

到着したら、すぐ歓迎セレモニーがあった。野外で、娘さんと青年がデールの盛装で大勢並び、「天鵜」の歌とお酒でお客さんを迎える。娘さんの後ろの壇上には、馬にまたがった青年たちが幟(のぼり)を立てて歓迎してくれる。みな、飛行機のスチュワーデスとはちがう、やわらかい笑顔だ。モンゴルの笑顔だ。

牧民さんを訪問。娘さんが琴を弾いて歌を歌ってくれた。
草原の日々の暮らし、どんなだろう?

我々の泊まるゲルは4人用の小型のものだった。荷物を置き、昼食と小休止のあと、草原の500mくらい東に見える牧民さんの家を訪問した。のんびり歩いて行った。

牧民は鳥力吉(ウリジ)さんという。娘さんに名前を尋ねたら、手帳にとても上手な漢字で書いて名前を教えてくれたのだ。建物は、レンガ造りの本宅と、ゲスト用などのゲルが3棟。あとは家畜用らしき建物がある。
私たちはゲスト用の立派なゲルに招き入れられ、モンゴルのお茶(スーテイ茶)をいただいた。娘さんが琴を弾きながら歌を歌ってくれた。ゲルの中で聴くモンゴルの曲は素朴で、感慨もひとしおだった。私たちも、お返しに日本の歌を歌った。


ゲルの中は意外と広く快適そうだ。家具がモンゴルの雰囲気をかもし出していた。娘さん(タナさん)は琴がとても上手。琴を爪弾きつつモンゴルの歌を歌ってくれた。お礼に、我々も日本の「北国の春」などを歌った。こういうの、いいなあ。(3枚の写真を合成しました)

鳥力吉(ウリジ)さん宅は、子供は1男1女。お母さんは50歳らしい。お父さんもちょっと顔を出したが、朝青龍のお父さんのような感じの貫禄のある方だった。チンギス・ハーンはこんなだったかと思わせる顔だった。
この家では羊を250頭。馬、牛を少し(数は聞き漏らした)。今はいわゆる遊牧(季節によって移動する)はやっていないという。(確かにそう聞いた気がする。間違っていたらご教示願いたい)。
住んでいる本宅の中も見せていただいた。レンガ造りで窓が大きくて明るく、清潔。寝室にはオンドルまであって、とても住みやすそうだった。余分な家具などはなくて、簡素な感じだった。
風力発電で電気が使え、テレビもある。娘さんの縁談が決まっていないのが気がかりのようだが、きっと今は平穏なのだろう。――この家族の日々の暮らしがどんなものか、もっと深く知りたいと思った。

サランモル またまた大ステージで演奏しました
夜はまたまた豪華・盛りだくさんな料理。夕食の後は、ダンスホールを借用して立派なステージで練習のあと、観光センター2階の大ホールで行われたイベントに我々も参加することになった。リポーさんの口利きなのだ。リポーさんは顔が広いのだ。
ホールの客席には、500人以上と思われる大勢のお客であふれていた。
ステージでは馬頭琴演奏や勇壮なモンゴル男性舞踊、優美な女性の舞踊、それからロシアの歌舞団のコミカルな踊りなどが始まった。盛りだくさんのプログラムだ。それらに混じって、サランモルが3曲、そのあとリポーさんが馬頭琴を、Kさんが歌(日本の歌)でステージに上がった。サランモルが演奏を終わってステージを降りると、おじさんが駆け寄ってきて何やら言う。どうやら「サランモル8名のうちウッドブロックを担当したT君がすばらしかった」といっているらしい。写真を撮ってうれしそうに帰っていった。
(ステージでのサランモルの演奏写真がありませんが、ゴメンナサイ。)

豪華なゲルの中。4本の柱で天窓部分を支える。美しく彩色された柱、天窓。これぞ、草原の竜宮城♪



ステージの後は竜宮ゲルで楽しいひととき。
こうなると、リポーさんはガマンできない?!

ステージでのアトラクションを終えた後、となりの大きなゲルで思いがけず楽しいひとときを過ごすことになった。
そのゲルはとても広くて見たこともないほど豪華絢爛だった。歌舞団の踊り手さんが優美に舞を見せてくれると、きっと竜宮城とはこんなところを言うのではないかと思った。私は、竜宮ゲルと勝手に名づける事にした。
宴が進んだころ、やおら、リポーさんが馬頭琴を手に取り、奏で始めた。
やっぱりな!。私は手を打った。リポーさんはこんな状況になるとガマンできなくなるのだ。馬頭琴を弾かずにはいられなくなるのだ!。
竜宮ゲルで聴く馬頭琴の調べは、また一段と音色が冴え、私はウットリとしてしまうのだった。
夢かうつつか?!。この辺から私の記憶は おぼろげとなった。夢幻の世界へ入り込んでしまった。――ここは竜宮城。明日の朝起きると、いっぺんに年を取って白ひげの老人になっているに違いないと思った。玉手箱は乙姫に手渡されても貰わないようにしようと、ボケた頭で考えた。




竜宮ゲルで、歌舞団の踊り手さんの踊りを見た。頭上にお茶碗を載せて優雅に舞う。もう、気分は皇帝か王様か。いや、浦島太郎?

リポーさん たまらず馬頭琴を弾き始める。待ってました。竜宮ゲルでリポーさんの馬頭琴の音色を聴けて、たまりませんでした。

モンゴルの神さま仏さま、どうか満天の星空をEさんに、私たちに!!
さて、今夜は憧れのゲルで寝るのだ。ちなみに、私は IMさんとYさんとの3人の相部屋だ。
今にも降りそうな空模様だが、何とか回復して星空が見えないものか。同行のEさんが大草原で満天の星空を見たいと言っていた。Eさんはこの旅行に大変な思いをしてやっとの事で参加されたのだ。草原の夕日を眺めてウルウルしたいという人もいた。私も同感だ。出来れば地平線に上る朝日も拝んでみたいとも思う。
モンゴルの神さま仏さま、どうか天気を良くして下さ〜い。

ホテル向かいの広場にて。朝6時というのに大勢に人が好き勝手に体を動かしている。左手後の螺旋形のものは街灯。


草原観光センター前で歓迎セレモニー娘さんたちの笑顔がまぶしい。 日本の街角で見かけるような顔立ちのお兄さん、お姉さん達だった。さすが、みんなデールが良く似合う。

2時間半のバスの旅お疲れさま。観光センターに到着して、全員集合


草原をのんびり歩いて牧民さんの家へ向かう。本宅、ゲル、風力発電機が見える。周りは、本当に大草原。天気が良かったらいいのに。


牧民さんのゲルにてお茶をいただき娘さんの琴を聴いた。右端はガイドの李晶さん。


草原にて。 風が吹き雨も降りそうで、8月なのに寒いのです。でもきっと明日はいい天気?!


夕食の歓迎セレモニー。馬頭琴奏者が二人と、歌の若者たち。元気良く「天鵜」などを歌ってくれた。さすがデールが似合ってる。


羊の骨付き肉を食べるリポーさん。ナイフを使って骨の髄まで食べつくす。さすがモンゴルの人。


観光センター大ホールで繰り広げられた数々のアトラクション。ロシアやインドの踊りもあった。途中で我らサランモルも出演。


リポーさんもリラックスして演奏。内モンゴルの若手奏者たちとの合奏もあって、良かった。



第4日目
8月12日(木)

午前中ググンタラ大草原で遊ぶ。

午後バスでフフホトに戻り内蒙古博物館など市内観光と買い物。

夜はレストランで食事の後、内蒙古飯店前特設会場で3回目のステージ。

終了後、フフホト空港から北京へ。北京のホテル泊まり

第4日目 8月12日(木)

朝起きたら小雨。モンゴルの神さま仏さまはちょっとばかり意地悪?
朝六時過ぎに目が覚めた。ゲルの外に出ると小雨が降っっていた。モンゴルの神さま仏様は願いを聞き届けてくださらなかった。ただ、起きてもおジイさんになってはいなかった?!。やれやれ、ひと安心。
夜中にトイレに起きたときは寒かった。トイレから戻って布団に入ってもふるえて寝られなかった。モンゴルはもう秋なのだ。
トイレといえば、この観光センターのトイレはすべて水洗トイレだった。ありがたかった。必ずしも清潔とは言えないが、良く整備されているほうだろう。別グループのシリンゴロ大草原ツアー組は、ゲルから少し離れたところに穴を掘ってトイレにしたという。それも野趣があって思い出に残るといえようが、人によっては大変だ。
フフホト市内の博物館では立ち上がったら隣のしゃがんだ人が見えてビックリした。仕切りの壁が低いのだ。上ばかりか、足元も見えてしまう。扉のロックが壊れているものもあった。

草原にて、リポーさん白馬にまたがる。
トイレの話などどうでも良い。草原の話だった。
レストランで朝食を済ませ、しばらくするとリポーさんがデールを着て、白馬にまたがって草原に登場した。東海テレビの取材なのだ。白馬の横に座って馬頭琴を弾いたり、馬上で弾いたりして撮影を受けてている。そのうち、白馬で疾走しだした。リポーさんの走るところを初めて見た。さっすが〜。かっこいい!! (この頃カメラの電池が切れてしばらく撮影できず。写真をお見せできないのが残念。)

相撲、競馬、その後いよいよ乗馬
モンゴル相撲と競馬を見た後、いよいよ乗馬となった。私も勿論乗馬組だ。希望者(8人くらい?)が馬に乗り、いよいよ草原のトレッキング出発。遥か南の丘の向こうまで行くらしい。
モンゴルのお兄さんが2人?、手綱を持って世話を焼く。馬は優しい目をして、おとなしい。勿論暴れたりはしない。ところが、時々止まって足元の草を食べる馬がいる。止まって歩かなくなる馬や、突然液体を放出する馬もいたりして、あちこちで悲鳴?が上がる。足元の草は、短く頼りなげだ。日本では見かけない草ばかりだ。時々ニラのような草も見かける。野の花も咲いている。季節はもう秋で、花も少ないのだろう。
風が冷たく、寒い。しかし、草原はどこまでも続く。360度、どこを見ても草原だ。これがモンゴルの草原なのだ。私の大好きな「草原情歌」を小声で歌った。…はるか離れたそのまた向こう だれにでも好かれる きれいな…
手綱(たづな)をにぎるお兄さんがニヤリとした、ような気がした。

幸いなことに天気は少しづつ回復してきた。1時間半近くのトレッキングだった。戻る頃には草原に日差しのまだら模様が出来るほどになった。

それでは草原スナップ写真館の 始まり はじまり〜!





草原の旅が終わった。中身の濃い旅だった。

日差しの降りそそぐ草原で昼寝をしたい。夕日を見送り、夜は満天の星空を堪能したい。そんな願いはかなわなかったが草原の広さだけは実感できた。ゲルで泊まる事もできた。ステージでの演奏、竜宮ゲルでの思いがけない宴など、したくとも出来ない体験もした。1泊2日、草原には正味24時間ほどの滞在だったが、充実感でいっぱい。中身の濃い草原の旅だった。モンゴルの草原と人々に、幸がいっぱいあるように祈った。

草原からフフホトに戻り、夜は3度目のステージ
草原での乗馬の終わったあと、バスに乗り帰路に着いた。草原も見納めだ。バスの車窓から見える草原に目を凝らした。途中、武川という町で昼食し、午後にフフホト市内に戻った。
フフホトでは内蒙古博物館を見学ののち、買い物をした。私は念願のデール(モンゴルの民族衣装)を買った。サランモルの活動の時、これでやっとMy デールで参加できるのだ。ちょっとハデすぎて恥ずかしいが…。
最後の夕食は狗不理(コープリ)という有名レストランだった。ちょっとお腹をこわした私は、折角の料理を充分味わうことが出来なかった。残念。
そのあと、もう夜になってから、3回目のステージに上がった。会場は内蒙古大飯店(有名なホテル)の野外特設会場だ。OさんとMさんが日本の夏の民族衣装、つまりユカタで登場。きっとお客さんはビックリして目はふたりに釘付けとなったことだろう。案の定、大拍手となった。

ステージを楽しんだ後は、フフホト飛行場へ。飛行場ではリポーさんと包小燕さんに手を振って別れを惜しんだた。リポーさんと包小燕さんありがとうございました。李昌先生にもお世話になりました。
22時過ぎの北京行き飛行機に乗り、北京飛行場近くのホテルに着いたのは夜中。24時頃近くだったか。明日の朝は早い。久しぶりに大急ぎで風呂に入り、グッスリと寝た。


白馬のリボーさん
白馬にまたがるリポーさん。絵になっていますね〜。この馬、最初はちっとも歩こうとしなかった。リポーさんが馬頭琴の音を聞かせたら動き出したという。ウソのような本当の話。

かっこよく馬を乗りこなすモンゴルの若者。お姉さんも乗り回す(前)。後は戦車パオ。チンギスハーンはこんなパオで世界を駆け巡った?。


内モンゴルの相撲。モンゴル国の相撲衣装とはかなり違う。モンゴル相撲には土俵がないってこと、これはもう皆良くご存知ですよね。

草原で競馬。ナーダムの競馬だと子供が騎手だが、ここではお兄さんが乗る。
ちなみにナーダムだと30Kmも走る時があるという。すごい。


草原に咲く花。他にも何種類もあったが上手く撮れなかった。もう秋で、花も少ない?
草原の草は、頼りなげで、丈も短い。日本のように「雑草のように強く」ではないのだ。

午後はフフホトに戻り内蒙古博物館を見学した。恐竜の化石がすごかった。

夕方、昭君大酒店(ホテル)に、預けてあった荷物を取りに戻った。ここには2泊したことになる。

内蒙古大酒店前の野外特設ステージで、ライトに照らされて演奏。ユカタ姿が注目の的!。

ユカタで馬頭琴弾くのは世界で初めて?


リポーさん気持ちよさそうに演奏


特設ステージで歌うKさん。はるばる鹿児島から参加してくださいました。
第5日目
8月13日

北京から名古屋へ
12時前着
第4日目 8月12日(木)
ホテルでバイキングの朝食をすませ、すぐ北京空港へ。飛行場前の道は渋滞していた。8時半ごろの飛行機にて出発。名古屋空港へ着き、荷物を受け取って皆さんにお別れをした。皆さん、本当にありがとうございました。お疲れ様でした。
飛行場には家内が迎えに来てくれていた。
日本は蒸し暑かった。しかし、日本はいいなあとも思った。2日前、草原で寒さに震えていた事を思うとウソのようだった。
色々な得がたい体験のできた旅だった。出来ることなら、来年、皆さんと一緒に再びフフホトのステージに立ちたいと思った。そのためにはもっと腕前を上げないと…。リポー先生、仲間の皆々様、どうぞよろしくお願いします。

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